WordPressはオワコンなのか?AI×ヘッドレスCMS時代にWeb制作者として思うこと

最近、「WordPressはもう時代遅れ」「これからはヘッドレスCMSとAIの時代だ」という話をよく見かけます。

たしかに、新しい技術が注目されているのは本当のことです。ただ、毎日クライアントのサイトを作っている立場からすると、「だからWordPressをやめよう」とは簡単に言えません。今回は、新しい技術の良い点を認めながらも、現場で感じているリスクや注意点を整理してみます。

AIとヘッドレスCMSは確かに便利

AIを使えば、これまで時間がかかっていた作業を素早くこなせるようになりました。アイデア出しや改善案の提案も、以前より格段にスピードが上がっています。

また、ヘッドレスCMSは設計の自由度が高く、うまく作れば表示速度の速いサイトを実現できます。

「従来のWordPressより優れているのでは?」と感じるのも無理はありません。特に新しい技術に日頃から触れている人ほど、その魅力を強く感じると思います。

AIを使うときに無視できないリスク

ただし、AIを前提とした開発には、いくつか気をつけなければならない点があります。

  • AIが作ったコードや文章に、意図せず著作権の問題が含まれる可能性がある
  • AIが指示を誤って解釈し、意図していない操作をしてしまうことがある
  • 大切なファイルを誤って削除・上書きしてしまうリスクがある
  • 今は無料で使えるサービスが、今後も無料のままとは限らない

AIはとても便利なツールですが、「何でも正確にやってくれる信頼できるもの」ではありません。特に仕事として使う場合、最後の判断と責任は必ず人間が持つ必要があります。

AIを活用すること自体は問題ありませんが、「すべてお任せ」にするのは、今の段階ではまだ危険だと感じています。

WordPressの本当のリスクは「プラグイン」にある

一方で、WordPressにもリスクがあるのは事実です。ただ、トラブルの多くはWordPress本体ではなく、「プラグイン(機能を追加する拡張ツール)」が原因であるケースがほとんどです。

  • 長い間バージョンアップされていないプラグイン
  • 開発者がすでにサポートをやめているプラグイン
  • 複数のプラグインが互いに干渉し合って不具合が起きる

こういった状況が、不具合やセキュリティ上の問題につながることがあります。

つまり、「WordPressが危険」なのではなく、「プラグインに頼りすぎた使い方」が危険というのが正確なところです。

この問題への対策はシンプルで、プラグインをむやみに増やさないことが一番の予防になります。

たとえば、ちょっとした機能はテーマ側で実装する、必要のないプラグインは入れない、使う場合も信頼性や更新状況をしっかり確認する——こうした判断を設計の段階でしておくことがとても重要です。

WordPressは使い方次第で非常に安定したサイトになります。逆に、プラグインを入れすぎると一気に不安定になります。

問題はツール自体ではなく、「どう使うか」なのです。

技術選びよりも大事なのは「運用の体制」

ヘッドレスCMSとWordPress、どちらが優れているかという議論はよくありますが、実際の現場ではそれ以上に重要なことがあります。

  • 誰がサイトを更新するのか
  • どのくらいの頻度で更新・管理するのか
  • トラブルが起きたときに対応できる人・体制があるか
  • 担当者が変わったときに引き継げるか

どれだけ優れた技術を使っていても、日常の運用が回らなければ意味がありません。

特に企業サイトでは、更新する担当者が必ずしもWeb知識を持っているとは限りません。「専門知識がなくても使いやすいか」という視点は、技術の選択と同じくらい重要です。

AI時代でも「安心して任せられる」という価値は変わらない

AIや新しい技術がどれだけ進化しても、お客様が本当に求めているものは大きくは変わりません。

・安心して任せられること
・問題が起きたときにすぐ動いてもらえること
・わからないことを気軽に相談できること

こういった「人への信頼」は、技術がどれだけ進んでも大切な要素であり続けます。

新しい技術を取り入れることと同じくらい、「どう運用して、どうサポートするか」まで考えることが必要です。

「WordPressかヘッドレスCMSか」は単純な話ではない

よく「シンプルなサイトはWordPress、拡張性が必要ならヘッドレスCMS」という分け方がされますが、現場の感覚としては、それほど単純ではありません。

そもそも「拡張性」や「柔軟な設計」というのは、ツールの問題ではなく、設計の段階で決まるものです。サイトを作る前に、どう運用するか・どこまで機能を広げる可能性があるかを整理しておかなければ、どんな技術を使っても後から対応できなくなります。

また、AIを使ってサイトを作るケースも増えていますが、ここにも落とし穴があります。

  • AIが作った構成は、なぜそうなっているかの意図が曖昧になりやすい
  • 仕組みを理解していないまま作ると、後から修正・追加が非常に難しくなる
  • 結果として「誰も触れないサイト」になってしまうリスクがある

つまり、「ヘッドレスCMSだから自由に拡張できる」「AIを使えば柔軟に対応できる」という話ではなく、そもそも設計ができていなければ、どんな構成でも後で困ります。

これはWordPressでも同じです。設計が曖昧なままで作られたサイトは、後からの修正や機能追加が大変になります。

逆に、きちんと設計されたサイトであれば、WordPressでも十分に拡張・改善していくことができます。

重要なのはツールの選択よりも、「誰が、どこまで理解した上で設計しているか」です。

まとめ

AIやヘッドレスCMSは、今後のWeb制作において重要な選択肢のひとつになっていくのは間違いありません。ただし、新しいからといって過信するのではなく、リスクや運用のことも含めて冷静に判断することが大切です。

WordPressの問題はWordPress本体ではなく、プラグインの管理にあることがほとんどです。適切に使えば、WordPressは今でも十分に実用的な選択肢です。

大切なのは「流行っているから」ではなく、「そのサイトにとって本当に合っているか」。その視点を持ち続けることが、これからのWeb制作には求められていると感じています。

Profile

夫婦2人でフリーランスとして活動しています。
夫はWebデザイナーで10年の経験があり、妻はDTP(Desktop Publishing)の仕事を25年間やっています。一緒にクリエイティブ業界で奮闘中です。
本業をしながら、フリーランスの働き方やWeb・クリエイティブなどに関わる情報を発信しております。
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